課題演習DCの内容説明(2019年度)

題名 担当教員 分野 前提 定員
さまざまな測地技術で高さをはかる
【PDFファイル】
福田洋一
西村卓也(防災研究所)
橋本学(防災研究所)
宮崎真一
風間卓仁
測地学 課題演習DA.必須ではないが,計算機による初歩的なデータ処理の経験があれが好ましい. 4名
和歌山県白浜市は南海トラフの沈み込みに伴う地殻変動をしています。特に上下変動はプレート境界の状態を知る上で非常に重要な観測量です。この演習では、和歌山県白浜市にある防災研究所白浜海象観測所の新旧観測棟の基準点間の高さの差(比高)を、水準測量・GNSS測量・重力測定の3つの観測手法で測定します。また、取得したデータを解析し、異なる観測手法で得た比高を比較したり、昨年度以前と今年度のGNSS観測結果の差から地殻変動を求めたりする予定です。各手法で得られる比高は一致するのか、一致しない場合は何が原因なのか、受講者自らで考察を深めることを期待しています。なお、重力データ解析の一部を測地(桜島)と合同で実施します。
重力観測で桜島火山を診る
【PDFファイル】
風間卓仁
山本圭吾(防災研究所)
中道治久(防災研究所)
井口正人(防災研究所)
測地・重力・地殻変動(火山を一部含む) 意欲があれば特に問わないが,計算機による初歩的なデータ処理の経験があれば好ましい. 4名
重力観測は測地学において重要な観測手法の1つであり,地下構造およびその時間変化の把握のために用いられている.本演習では鹿児島県の桜島火山を訪れ,LaCoste型相対重力計を用いた重力観測を実施する.観測終了後には各自が取得したデータをそれぞれ解析し,過去に観測された重力値と比較する.その上で,桜島の火山活動に関連する重力変化を見出し,桜島内部の質量移動過程をモデル化する.
コンピューターで見る地震サイクル
【PDFファイル】
宮崎真一 地震学・測地学 目安として,計算地球物理学・同演習,弾性体力学,課題演習DA 4名
岩石実験によって得られた速度・状態依存摩擦構成則は,地震やスロースリップなど様々な断層すべり様式や,地震が繰り返し発生する様子,2つ以上の地震発生における相互作用などをよく再現する.本課題では,最も単純な系として,2次元の無限媒質中の1次元断層にせん断応力をかけ,摩擦パラメータやその分布を様々に変えた時にどのようなすべりが生じるか,数値計算をやってみよう.
演習では,英語で書かれた関連する教科書や論文の輪読を行うとともに,実際に自分でプログラムを書いて数値実験を行い,得られた結果に対する物理的な考察を行う.実際の地震の起こり方との比較も行う.余裕がある人は,3次元の半無限媒質での数値計算も行ってみてほしい.
大地の変動を見る —地表から沈み込み帯まで—
【PDFファイル】
清水以知子
浅野公之(防災研究所)
岩田知孝(防災研究所)
活構造学,地球内部レオロジー,応用地震学 課題演習DA 6名
本演習では,直下型大地震における活断層の動きや地盤の揺れから,沈み込み帯深部のゆっくりした変形まで,地殻変動の研究に必要な野外観察と観測,室内分析とデータ解析の手法を基礎理論とともに体験的に学ぶ.今年度は夏休み期間中に1泊2日の淡路島巡検を行ない,阪神淡路大震災をひきおこした野島断層の露頭見学や,島弧地殻および高圧変成岩のフィールド観察を行う(日程は相談の上決める).室内実験や顕微鏡観察は理学部で行ない,強震動に関する観測・解析は防災研究所(宇治キャンパス)で実施する.
地球の鼓動を探る
【PDFファイル】
久家慶子
Bogdan ENESCU
大倉敬宏(地球熱学研究施設)
地震(火山を一部含む) 特に前提知識は必要なし。計算機を使用するので、その知識(例えば、Fortran 等)があると容易ではあるが、必ずしも必要とはしない。 6名
本演習では、地震や火山活動による地面の揺れをターゲットに、観測・データ解析・モデリングの三位一体で迫る。目で直接見ることのできない地球内部での現象(地震など)や深部構造を明らかにするには、地表での震動や変動を観測すること(観測)、そのデータを読み解くこと(データ解析)、その結果をもとに地下での現象を推測すること(モデリング)の3つの組み合わせが不可欠である。本演習の目的は、これらを一通り体験することにより、地震や地球内部を調べるための基礎的な感覚を身につけることである。京都で地震のデータをとることは難しいので、観測実習は、9月19~22日の3泊4日間を利用して、阿蘇山にて実施する。交通費および食費は自己負担で、宿泊は阿蘇青少年交流の家(阿蘇市)等を利用する予定である。実習の打ち合わせを、7月3日(水)18:10から理学部1号館5階566室で行う。過去の演習のようすは
http://www-seis1.kugi.kyoto-u.ac.jp/dc/index.html
で見られる。
マグマから噴火まで —研究に使用する代表的な手法を習得する—
【PDFファイル】
大倉敬宏
柴田智郎
横尾亮彦
宇津木充
(地球熱学研究施設)
地球熱学・火山物理 好奇心と熱意があれば,特に問わない. 6名
マグマの発生から噴火に至るまでの現象を研究するためには,多様な手法が使用される.本演習は,これらの手法の概要を理解し,多面的に現象を見る目を養うことを目的としている.内容としては,比抵抗,全磁力,自然電位などの電磁気解析,赤外・可視映像の解析による熱的調査,熱水・湧水の物理計測・化学分析の基礎,などである.1項目2回~3回の演習を予定している.また, 別府・阿蘇でのフィールド調査を夏季休暇中の5日間(9月8~12日、9月11~15日あるいは9月20~24日)で行い,ここで得られた試料やデータも演習で使用する(日程は履修者決定後に相談して決める).フィールド調査の交通費および食費は自己負担で,宿泊は阿蘇青少年交流の家(阿蘇市)および地球熱学研究施設(別府市)を利用する予定である.