課題演習DCの内容説明(2023年度)

題名 担当教員 分野 前提 定員
重力観測データで桜島火山を診る
【PDFファイル】
風間卓仁
山本圭吾(防災研究所)
中道治久(防災研究所)
井口正人(防災研究所)
測地学(火山を一部含む) 意欲があれば特に問わないが、計算機による初歩的なデータ処理の経験があれば好ましい。 6名
重力観測は測地学において重要な観測手法の1つであり、地下質量構造やその時間変化を把握するために用いられている。本演習では、まず受講者自らが京都大学~比叡山山頂で重力観測を実施し、重力計の操作方法や重力データの解析方法を学ぶ。次に、桜島火山で過去に取得された測地データ(重力データ・水準データなど)をインバージョン解析し、火山活動に伴う地下質量変動をモデル化する。これらの観測・計算結果をまとめるにあたっては、日本語論文の書き方を学び、その方法に従って文章を書く練習も実施する予定である。
大地の変動を見る ー 地表から沈み込み帯まで ー
【PDFファイル】
清水以知子
浅野公之(防災研究所)
岩田知孝(防災研究所)
地球レオロジー,テクトニクス,地震学 特になし 5名
本演習では,大地震による活断層の動きや地盤の揺れから,沈み込むプレートによる地下深部のゆっくりした変形まで,地殻変動の研究に必要な野外観察と観測,岩石力学実験や光学顕微鏡観察,データ解析の手法を基礎理論とともに体験的に学ぶ.今年度は夏休み期間中に1泊2日の淡路島巡検を行ない,阪神淡路大震災の震源断層の見学や,島弧地殻および高圧変成岩のフィールド観察を行う.室内実験や分析,地震波伝播・強震動に関する演習は理学部で行う.野外調査実習の1回は防災研究所(宇治キャンパス)で実施する予定である.
計算固体地球物理学
【PDFファイル】
金子善宏 計算力学, 地震学, 地球内部物理学 4名
熱伝導、断層運動、津波や地震波の伝播を支配する力学と, その理解の手助けとなる数値解析的手法を「演習」を通して習得する。研究発表などでみられるCGで表示された美しいシミュレーション結果の裏にある理論の修得と,実際に解析を行い,実践的な学習を重ねる。地球物理学分野で幅広く利用されている有限差分法(FDM),有限要素法(FEM)やスペクトラル要素法(SEM)といった数値シミュレーションのためのアルゴリズムを理解する。発展問題として, 地震波の伝播や断層の動的破壊シミュレーションのプログラムを稼働させ結果を分析する。
プレート境界で発生する巨大地震の地震サイクル:測地学と地震学の両面から
【PDFファイル】
大谷真紀子
宮崎真一
地震サイクル,数値実験,逆問題,データ同化 計算地球物理学・同演習,弾性体力学,地球物理学のためのデータ解析法を履修しているか,同等の内容をある程度理解していること 4名
プレート境界では数十〜数百年間隔で巨大地震が繰り返し発生し、プレート境界面は固着とすべりを繰り返す。プレート境界の現在の状況を把握し、将来のすべり予測につなげることを目的とし、測地観測データの解析研究や数値モデルを用いた地震学的理論研究が行われている。本演習ではこれら測地学・地震学研究の両者を体験し、地震サイクルの理解を目指す。前半ではプレート間のすべりや固着に起因する地殻変動を示すGNSS地表面変位データをインバージョン解析し、プレート境界面における固着・すべりの様子を推定する。後半ではプレート境界面すべりを模擬する数値モデルを用いて地震サイクルを観察する。また、データ同化手法(アジョイント法)について学び、数値モデルを利用してすべりを推定する数値実験を行う。計算機でのプログラミングが多くなる。
マグマから噴火まで —研究に使用する代表的な手法を習得する—
【PDFファイル】
大倉敬宏
楠本成寿
横尾亮彦
宇津木充
(地球熱学研究施設)
地球熱学・火山物理 好奇心と熱意があれば,特に問わない. 7名
マグマの発生から噴火に至るまでの現象を研究するためには,多様な手法が使用される.本演習は,これらの手法の概要を理解し,多面的に現象を見る目を養うことを目的としている.内容としては,比抵抗,全磁力,自然電位などの電磁気解析,赤外・可視映像の解析による熱的調査,重力を用いた地下の密度構造解析の基礎,などである.1項目2回~3回の演習を予定している.また,夏季休暇中の5日間(9月15-23日の期間で調整予定)に阿蘇でのフィールド調査を実施する予定である(コロナ感染状況により中止の可能性もあり).フィールド調査の交通費および食費は自己負担で,宿泊には阿蘇の火山研究センター(阿蘇郡南阿蘇村)を利用する.