課題演習DCの内容説明(2020年度)

題名 担当教員 分野 前提 定員
重力観測データで桜島火山を診る
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風間卓仁
山本圭吾(防災研究所)
中道治久(防災研究所)
井口正人(防災研究所)
測地学(火山を一部含む) 意欲があれば特に問わないが、計算機による初歩的なデータ処理の経験があれば好ましい。 6名
重力観測は測地学において重要な観測手法の1つであり、地下質量構造やその時間変化を把握するために用いられている。本演習では、まず受講者自らが京都大学~比叡山山頂で重力観測を実施し、重力計の操作方法や重力データの解析方法を学ぶ。次に、桜島火山で過去に取得された測地データ(重力データ・水準データなど)をインバージョン解析し、火山活動に伴う地下質量変動をモデル化する。これらのデータ解析に関連して、重力に関する理論を学ぶために英語の教科書を輪読する予定である。
なお、本課題では例年9月に桜島火山での重力観測実習を行っていたが、今年度はCOVID-19の影響で9月における桜島での実習は行わない。ただし、今後状況が改善した際には桜島での重力観測実習を改めて実施する予定であり、その日程については受講者とともに検討していく。
地殻変動データのモデリング(基礎編)
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宮崎真一
西村卓也(防災研究所)
橋本学(防災研究所)
測地学・地震学 目安として,計算地球物理学・同演習,弾性体力学,課題演習DA 4名
1994年に国土地理院によって運用が始まった全国GNSS連続観測システムGEONETの導入により,日本列島の地殻変動の情報が連続的にほぼリアルタイムで得られるようになり,地殻変動の解明に大いに役立っている.この課題では,GEONETによって得られた各観測点での変位データから,地下の断層のどのようなすべりを起こしたのかを,数値的に逆問題を解くことによって求めることを目標とする.演習では,(1)教科書の輪読や講義を通して逆問題の理論を学び,(2)弾性体力学で学んだディスロケーション理論に逆問題を適用するプログラムを実装して断層すべりを求め,(3)得られた結果の地球物理的な意味を考察する.地震またはスロースリップと呼ばれる地震波を出さないゆっくりとした断層すべりを題材とする予定である.逆問題自体は固体地球物理に限らず地球物理ではよく遭遇する問題であり,地殻変動以外に興味がある人の履修も歓迎したい.
大地の変動を見る ー 地表から沈み込み帯まで ー
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清水以知子
浅野公之(防災研究所)
岩田知孝(防災研究所)
地球レオロジー,活構造学(テクトニクス),強震動地震学 特になし 4名
本演習では,大地震による活断層の動きや地盤の揺れから,沈み込むプレートによる地下深部のゆっくりした変形まで,地殻変動の研究に必要な野外観察と観測,岩石力学試験や顕微鏡組織観察,データ解析の手法を基礎理論とともに体験的に学ぶ.今年度は夏休み期間中に1泊2日の淡路島巡検を行ない,阪神淡路大震災の震源断層の見学や,島弧地殻および高圧変成岩のフィールド観察を行う.室内実験や分析,地震波伝播・強震動に関する演習は理学部またはオンラインで行う.野外調査実習の1回は防災研究所(宇治キャンパス)で実施する予定である.今後の新型コロナの感染状況によって,巡検や実習の日程・内容を変更する場合がある.
計算地震学―断層の破壊過程と波動伝播
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金子善宏 地震学 計算地球物理学・同演習, 弾性体力学 6名
断層運動や地震波の伝播を支配する力学と, その理解の手助けとなる数値計算の基礎を「演習」を通して習得する。特に, 地球物理学分野で幅広く利用されている有限要素法(FEM)やスペクトラル要素法(SEM)の基礎を学ぶ。発展問題として, 2次元, または3次元の地震波の伝播や断層の動的破壊シミュレーションのプログラムを稼働させ, 観測された地震波形データと比較し, モデルの検証を行う。
マグマから噴火まで —研究に使用する代表的な手法を習得する—
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大倉敬宏
柴田智郎
横尾亮彦
宇津木充
(地球熱学研究施設)
地球熱学・火山物理 好奇心と熱意があれば,特に問わない. 8名
マグマの発生から噴火に至るまでの現象を研究するためには,多様な手法が使用される.本演習は,これらの手法の概要を理解し,多面的に現象を見る目を養うことを目的としている.内容としては,比抵抗,全磁力,自然電位などの電磁気解析,赤外・可視映像の解析による熱的調査,熱水・湧水の物理計測・化学分析の基礎,などである.1項目2回~3回の演習を予定している.また,夏季休暇中の5日間(9月10日〜14日)に阿蘇でのフィールド調査を実施する予定である.フィールド調査の交通費、宿泊費および食費は自己負担で,宿泊には阿蘇青少年交流の家(阿蘇市)を利用する.